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アンナプルナ・ベースキャンプ(ABC:Annapurna Base Camp)(6)壮大な自然に圧倒される。


 寝袋と毛布2枚を体に巻い部屋から外を眺めているが、山は曇っていて、一向に見える気配がない。毎日雨ばかりで、ガイドさんとは山が綺麗に見えるかどうかは分からないというような話をしてはいたが、ガイドさんの「俺がABCに行ったときに見えなかったことはない!だから安心しろ!はっはっは!」という言葉を信じてここまでがんばってやってきた。それなのに・・・。そういえば、途中の道のりであったフィンランド人のグループの人たちは、四日間ABCに滞在したが一度も山が見えなかったらしい。
 しばらく待ち、もう無理かもしれない、と思いながら外を見てみると!!なんと突然雲が晴れて山が見えてきたのだ。山の全てが見えたわけではないが、そのときは「ああああああああ~~~~!!!!!山が!!!あああああああああああああ!!!!!!!!」という感じだった。興奮してただ叫び続けていた。
 それもそのはず。あそこからの景色は「世界中のトレッキングの景色ベスト10」に選ばれているのだ(最近知った)。あそこまで美しい景色を見ることが出来るのは、この先の人生でそんなに多くないだろう。
 僕が想像していたそこからの景色は、大きなヒマラヤ山脈。しかし、実際の景色はそんなものではなかった。文字通り、僕はヒマラヤ山脈の麓に来ていたのだ。目の前に聳え立つ白い巨大な山々、僕はここに来れてよかったと心から思った。それと同時に、自然の偉大さに圧倒された。
 ゲストハウスの食堂の壁には様々な国籍の人々の顔写真が飾ってあった。ここを訪れた人々は、記念に写真を貼っていくのだ。その写真の中に、三人の韓国人の登山家の写真もあった。彼らは、ヒマラヤ山脈の一つの山の登頂を目指して、ABCにやってきた。しかし、彼らはその数日後雪崩によって命を落とした。僕がABCにいた間にも遺体捜索が行われていたが、いまだに見つかっていない。
 偉大な登山家たちの多くがABCに訪れ、そしてその先の道のりで命を落とした。。彼らが命を賭けてまでその美しい山々に登るその理由を、僕は少しばかり分かったような気がした。それだけの魅力がここにはある。
 ゲストハウスの裏にある谷から、「ごろごろごろ~~~~」という音が数分おきに聞こえてくる。この音は、雪崩や崖崩れの音だ。実際に目の前で起こっているその自然のいたずらに僕は言葉を失った。人間というものいかに無力であるかということが分かった瞬間だった。いくら文明が高度に発達しようが、人間は自然に勝つことは出来ないということを実感した。
 ABCの魅力というのは、壮大なヒマラヤ山脈の景色だけではなかった。夜の満天の星空も僕を驚かせた。中学2年の夏休みに行ったモンゴルの星空もすごかったが、それに劣らず美しかった。数え切れないくらいの星は、夜は暗いということをも忘れさせてくれるくらいだった。実際にその場にいないで想像するのは難しいと思うが、理科の教科書に出てくる満点の星空の写真よりも数段すごいと言えば、なんとなく分ってもらえると思う。それほどまでに美しい。
 翌実は、早朝に下山を開始する。星空を存分に楽しみ、早々と眠りについた。

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